こらぼたうんが実践している価値共創マーケティングは「デザイン思考・デザインシンキング」の考え方を大切にしながら実践しています。
デザイン思考も価値共創マーケティングも共通する効果があります。
それは「イノベーションを起こす」ことと「強いチームを作る」ことです。
イノベーションを起こす
価値共創の目指す最大の効果は、イノベーションの創出です。過去の延長線上ではない、全く新しいアイデアが生まれやすいという事です。
さらに価値共創マーケティングは人を中心とした考え方であるため、これまでの市場を中心としたアプローチではありません。人々からその課題の本質を見極める事ができます。
強いチームを作る
価値共創マーケティングはチーム間のコミュニケーションを大切にしています。実践の過程において全員が平等に発言権を持ちます。
役職に関係なく上下関係に左右されない意思決定で積極的なアイデア創出が期待できます。
このイノベーションを起こす事と強いチームを作るという2つの効果を導き出さすと言う点においては「デザイン思考」という思想と共通しており、価値共創マーケティングを実践する上では欠かせない考え方です。
デザイン思考をビジネスに活用すればイノベーションを起こす可能性が高まるとして取組を始める企業が増えてきましたが、この「デザイン思考」とは何かについて考えてみたいと思います。
デザイン思考とは
「デザイン思考」とは、デザイナーのように考えることを意味しますが、芸術的なスキルや美的な感覚を表す「デザイン」とは違い、ビジネスにおいて問題を解決するための思考法です。
つまり、「デザイン思考」は、デザイナーの感性と手法を使って、顧客目線で問題解決を図ることを目的としています。
顧客がどのような体験を求めているのか、どのような価値を提案すればよいか、そしてその価値を商品やサービスに落とし込むかを「設計」することが重要です。
「デザイン思考」は、顧客にとっての価値を最適化し、市場の創出やイノベーションを起こすための思考方法です。
その中でも、顧客中心主義が重要な考え方です。「顧客中心主義」とは、単に顧客に合わせてやることではなく、顧客のことを深く理解し、顧客自身が気づいていない問題を解決することです。
このように考えることで、他社と差別化し、顧客にとって価値のある独自化された商品やサービスを提供できるようになります。
「デザイン思考」は、このような考え方を体系化したものです。
デザイン思考が必要な理由
なぜ今、デザイン思考が注目されているのかというと、従来の方法では新しいアイデアや発想を生み出すことが難しくなってきているためです。
ビジネスが変わったため、従来の方法は通用しなくなったのです。
「広く浅く、より多くの人に受ける商品・サービスを作る」アプローチだと、人々のニーズに応えるプロダクトを提供できなくなってしまいます。
このような急速な時代の変化についていくために、多様なニーズに対する解決策を導き出す手法が必要になってきたのです。
◆顧客中心の思考法でイノベーションを起こす
デザイン思考では、生活者である顧客が重要視されます。
顧客の考え方や感情を詳細に観察することが、アイデアの出発点になります。そして、スピード感と質を兼ね備えた解決策を考案することができます。
このような条件を満たす手法こそが、継続的にアイデアを生み出す「デザイン思考」なのです。
デザイン思考5つのステップ
ここでは、スタンフォード大学d-school (Hasso-Plattner Institute of Design at Stanford)が提案した、デザイン思考の5段階モデルに沿って説明します。d.schoolは、デザイン思考の教育分野を牽引する存在です。
デザイン思考は以下の段階を通じて取組みます
1. 共感
関係する人々のニーズを理解する
2. 問題定義
顧客を中心に問題を構成し直し定義する
4. プロトタイプ
試作品を制作して実践的にアプローチする
5. テスト(検証)
問題に対するプロトタイプや解決策を発展させる
デザイン思考は、これらの5つのプロセスに沿って展開しこのプロセスを繰り返し行う事で、商品やサービスを完成へ導く方法です。それでは各ステージについて説明していきます。
1.共感
デザイン思考は、まず顧客との共感から始まります。この共感は、顧客のことを注意深く観察し、理解することを指します。
直接関わることで、自分以外の人に関する多くの情報を得ることができます。この情報をもとに、人々の考えや価値観を理解し、良いデザインを生み出すことができます。
共感は、相手の感情をまで共有することではなく、気づきや発見をつなげることで、新たな発見を得るためには重要なプロセスです。デザイン思考の過程での重要な段階となります。
2. 問題定義
共感のステージでは、顧客を観察して得られた情報をまとめます。そして、その情報を理解して、顧客が本当に解決したい問題を明らかにするのが問題定義です。
共感ステージで集められた人々の考えや価値観に関する膨大な量の情報を問題定義のステージで集約することになります。この段階で、問題を明確に表現する「着眼点」を生み出す必要があります。この着眼点がインサイト(洞察)を捉えていれば、次のステップである創造やプロトタイプのステップで、適切に問題解決を行うことができます。
この時、重要なのは「質の良い着眼点」を見つけることです。なぜなら、最後のテストのステージで顧客から自分がまさに欲しかったものはこれだと驚きをもって共感されることができるからです。一方で、インサイト(洞察)を捉えていない質の悪い着眼点である場合、テストのステージで顧客の反応は冷ややかなものになってしまいます。
そのため、顧客の声をただ受け取るのではなく、その内容から根本的な不満や課題を発見して、「質の良い着眼点」を定義することが重要です。
3.創造
「問題定義」で設定された着眼点を具現化するために、アイデアを出すのがこの「創造」のステップです。ここでは、アイデアの「質」よりも「量」を意識して、参加者全員でブレインストーミングを行い、チームのメンバーが制限することなく思いついたことをアウトプットすることが大切です。
試作(プロトタイプ)を作るための素材を手にし、顧客に対して革新的な解決策を提供できるように試みます。ここではロジカルに考えるのではなく、できるだけ多くのアイデアを出し、拡散させること、大量にアウトプットすることが重要であり、アイデアの実現可能性などは、この時点では考える必要がありません。
アイデアを出し尽くした後、問題解決につながりそうなアイデアについて、今度はそれらを収束させていきます。これによって選択可能なアイデアの幅を可能な限り押し広げることができますが、ただ一つの最良の解決策をこのステージで見つけることはできません。
何が最良の解決策なのかは、後のステップで行う顧客とのテストとフィードバックによって明らかになります。このステップでは、選択可能なアイデアを絞り込むことで、試作に進むためのアイデアを洗い出し、詳細を検討するためのアイデアを残しておくことが大切です。
4.プロトタイプ
アイデアを出した後、イメージをできるだけ具体的に持つために形にしていきます。
最終的な解決策に近づくための質問に答えるために、繰り返し試作品を生成する段階です。そうすることで、チームでアウトプットイメージの共有を行うことができ、さらなるアイデアの修正も行うことができます。
文字や言葉で表現する、ラフなイラストで描く、手作りでとりあえず形を作ってみるなど、あまり時間を掛けずに素早く形にしてみます。
プロトタイプ(試作品)については、顧客と対話できるものであれば、何でも構いません。とにかくプロトタイプ(試作品)は低品質で構わないので、素早く作ることが大切です。それを顧客に提示しながら、他部署のメンバーも含め有益なフィードバックを引き出していきます。
5.テスト(検証)
テスト段階は、プロトタイプ(試作品)を顧客に実際に使ってもらい、そのフィードバックを受けて改善を行うステージです。
具体的な対象物を使ってもらうことで、顧客の日常に密接に関わるものをテストすることができます。最も理想的なのは、顧客が生活している実際の環境でテストすることです。
実際の状況を再現することで、より良いテスト結果を得ることができます。顧客からのフィードバックを基にアイデアを改善し、再度テストすることを繰り返します。
繰返すことでスパイラルアップ
何度も繰り返すことです。一度作ったから終わりというわけではなく、何度もこのサイクルを繰り返すことによって、螺旋状にクオリティが上がっていきます。
実践としての価値共創マーケティング
まとめ
商品の開発などでは色やカタチといったデザインを重視している企業は多いですが、デザイン思考は商品の色や形だけでなく、商品やサービスのコンセプトづくり、企業のブランディングなど経営の根幹に関わる部分を担うものです。
デザイン思考の考え方は、ビジネスに携わる全ての人に共通し関係します。
商品やサービスを作る以外にも、プロジェクト進行や、組織課題を考える時など、様々な場面で活用することができ、既存のやり方では生まれない革新的なアウトプット、イノベーションに繋がります。
スタンフォード大学d-school (Hasso-Plattner Institute of Design at Stanford)が提案した、デザイン思考の5段階モデルに沿って説明しましたが、考え方を体系化した理論としては大変素晴らしいものです。
考え方や理論を学ぶことは大切なことですが、我々は学者でも評論家でもありません。
いくら素晴らしい知識を身につけても行動しなければ何も始まりません。実行しなければ何の価値にもならず、成果を上げることはありません。
デザイン思考という考え方を大切にしながら、実践としての価値共創マーケティングをぜひ経験してみてください。
「イノベーションを起こす」こと「強いチームを作る」ことが実感できるはずです。
モノがサービス化するこれからの時代、人と人とがコラボレーションして共に創る共創・価値共創が課題の解決のカギになります。
「共創」は、ビジネスにおいて重要な手法の一つとなるでしょう。
企業が消費者に価値を一方的に提供するのではなく、企業と消費者・生活者双方の交流の中から新たな商品・サービスを創造していきましょう。
ぜひ一緒に共創マーケティングでデザイン思考を実践してください。
オンラインでも実施しています。