なんでも言える組織が価値を生む
弊社では生活者との共創マーケティングを実践する場合、企業側の参加者は会社内における年齢、地位、役職に関わらず全員「さん付け」で呼び合うようにしてもらっています。
その理由は、チーム内のリーダー1人だけがリーダーシップを発揮するのではなく、役割、年齢、地位に関係なく同等にチーム全員が力を発揮すべきものであり、そのことでチームとしてより高い成果を出し難しい局面も乗り越え新たな価値を創造していけるからです。
変化のスピードが速く、何が正解なのか答えを見出せない現代においては、組織内の立場や役職を超え、一人一人が主体性を発揮しチーム全員で未知の価値を共に作り出していく、いわゆる「共創」することが求められています。
チームの一人一人が共に高めながら、考えているとこと思っていることをなんでも言える状態の中での試行錯誤があって初めて、答えが無い中で答えを生み出すチームが生まれます。
リーダーがメンバーを委縮させたり、上からコントロールするような命令型のマネジメントでは、なんでも言える状態にはなり得ません。
1人のリーダーが牽引する、従来型のリーダーシップではなく、いわゆるシェアド・リーダーシップ型でなんでも言えるチームが価値創造に適していると言えます。
共創マーケティングの実践は、一人一人の主体性と創造性が増幅する共創型リーダーシップであるシェアド・リーダーシップを実現しながら未知の価値を生み出します。
シェアド・リーダーシップとは
立場や役職・年齢等によって特定の1人がリーダーとなるのではなく、全員がリーダーとなることです。リーダーと部下(フォロアー)という垂直的な関係ではなく、全員がリーダーシップを発揮できる水平関係の状態を指します。
リーダーシップは、チームの目標を達成するために必要な他のメンバーに対する影響力です。
影響力と考えれば、立場や役職・年齢に限らず誰でも発揮できるはずのものです。全員が発揮できれば、職場やチームを強くします。
特に新たな価値は、既存の価値と既存の価値の組み合わせや交換から生み出されます。
したがってチームメンバーが垂直的な関係であるよりも、誰もが自由にモノが言える水平的関係の方がクリエイティブなアイデアが出やすくなり、また、チームのメンバーがやりがいを持って取り組め、結果として成果が上がります。
タコツボから新しいアイデアは生まれない訳で、メンバー全員が互いに刺激し合い知識や知恵やアイデアの交換が活発になることで創造的アイデアが出現しやすくなるのです。
メンバー全員が主体的に活動し互いに協力し合う関係を構築し結果として新たな価値を創造するために、共創マーケティング実践においては、企業側の参加者について、年齢、地位、役職に関わらず全員「さん付け」で呼び合い、共創型リーダーシップであるシェアド・リーダーシップの形態を保ちながら実践しています。
さらに組織横断し寄ってたかって
また、商品企画における企業と生活者との共創を実施する時、商品企画担当者だけでなく営業担当者や開発担当者などの他部署の人を交えることがあります。
組織横断的にシェアド・リーダーシップを皆で発揮し、寄ってたかって一緒に課題を見つけ、その解決に向け共創を行うと結果的に良い方向に向かいます。
組織横断での共創は対応のスピードが上がります。
企画担当者が企画したとしても、企画部署以外にも他部署との調整などいわゆる縦割り組織の弊害により相当な時間を要してしまいます。
様々な部門が当初より関わりシェアド・リーダーシップを発揮し、同時に生活者との共創を行うことで、社内承認プロセスや調整、伝達する時間が削減され、担当の社員がより早く対応できるようになります。
部署を超え組織横断的にオープンでフラットな関係の中で「寄ってたかって」自由な対話をすることで、各人の経験値を別の角度から見直すことが出来、ユニークな見方で新たな発想のもと課題を創り上げることが出来ます。
生活者(顧客)の変化に最適にすばやく対応出来るのだけでなく、これまでにない視点で新たな価値を見出すことに繋がるのです。
まとめ
企画部門と販売部門の衝突が絶えない。
「あいつらが企画した商品なんて売れない」社内のこんな状況って意外と多いものです。
そこには垂直的なリーダーシップと組織の縦割りの壁があると思って間違いありません。こんな状況でイノベーションを起こすのには限界があります。
同じ会社でありながらチームメンバーや各部署間でぎくしゃくすることが多いから、共創型リーダーシップであるシェアド・リーダーシップを実践し、ビジョンとかミッションを共有し知恵を出し合い助け合いながら、仲良くやりましょうよってことです。
立場や役職そして組織の垣根を超え、生活者も交え「なんでも言える」状態で皆で知的に粘って練ってデザイン思考で考え抜いてみる。
そうすることで、提供する商品やサービスだけでなく組織も変わり、迅速に新しい価値を創造することが出来ます。
組織改革と商品改革を並行しながら実践するのが共創マーケティングの醍醐味です。