株式会社こらぼたうん代表の中間祥二は、東日本大震災以降、東北の地域産業活性化のお手伝いを積極的に行っておりますが、福島県内においては、福島県より承認され「ふくしま地域産業6次化イノベーター」として今年も活動しております。
地域産業6次化イノベーターとは県内における地域産業の6次化を推進するため、農林漁業者等のマーケットインの志向に基づく商品開発やビジネスモデルの課題解決、販売戦略の再構築等の革新を支援することが役割です。
福島県内における活動
ふくしま地域産業6次化サポートセンターをはじめ、地元商工会議所・商工会等と連携し県内生産者の6次産業化を共創マーケティング実践も含め支援しております。
6次化(6次産業化)とは何か?
6次化(6次産業化)とは、1次産業である農業や林業、漁業の事業者が、生産または収穫した物の持つ価値を高めることにより、事業の収益性・成長性などの向上につなげていくための取り組みのことです。
6次産業という言葉は、1次産業・2次産業・3次産業の数字を掛け合わせたもので、東京大学名誉教授の今村奈良臣氏によって作られた言葉です。
農業部門はもちろん、加工部門あるいは販売・流通部門さらにはグリーン・ツーリズムなどの観光部門などで新規に就業や雇用の場を拡げ、農村地域における所得の増大を図りつつ、6次産業の拡大再生産の道を切り拓こう、ということを提案したものです。
つまり、生産・収穫するだけでなく、2次産業である製造業や3次産業である流通や販売も一貫して行うことによって、価値を高め、事業を活性化させることを目指すものです。
6次産業化によるメリット
1次産業者が6次産業化を目指すことによって得られるメリットとして代表されるものを列挙します。
1.所得の向上
6次産業化の本来の目的でもある所得の向上が挙げられます。生産から流通・販売までを一貫して行うことで、生産物の価格設定の主導権を持つことができるため、より安定した収入を得ることができます。
仮に直接販売を実施したならば価格を主導的に決定できるようになるために利益率が向上、市場の動向に左右される事はなくなります。
さらに、通常であれば加工や流通は別の事業者が行うため、関わった事業者の数だけ販売時の価格が高騰することになり、安い金額で消費者に届けることが難しくなってしまいます。
6次産業化を行うことにより、質の良い商品を消費者に安く届けることが可能になるのです。
また、生鮮品のくだものや野菜など天候や出来具合によって収入の増減が発生してしまう1次産業の弱点を、加工品などで補填し、事業全体の収益の安定化を図ることも可能になります。
2.ブランド化が可能
生産から販売までを一貫して行うことで、生産物のブランド化も自社で行うことが可能になります。
農林水産物は、生産地の自然条件や地域の歴史や文化の影響を受けているという特徴があります。農林水産物の地域ブランド化への取組は、主にこの「地域性」を 農林水産物・食品の付加価値につなげるものです。
この地域性の要素を独自化のポイントとした「地域ブランド」を確立することが期待できます。
生産から販売までを一貫することにより商品の意味や価値を自らが伝えることによって,顧客に選択され続ける仕組みを作り出し、さらに「地域ブランド」として独自の技術だけでなく、その土地でしか購入できないという他の商品との差別化や付加価値がつくことにより、ブランド力が向上します。
3.雇用の拡大と地域の活性化
例えば農業をしている農家が、業務拡大のために従業員を雇おうと考えたとき、労働の均一化ができるかが課題になります。
気候や天候に左右され、また繁忙期と閑散期の差が著しい農業の場合、一般の会社員と同じように9時~17時の8時間勤務のような固定された勤務体系で雇用することは困難です。
繁忙期など忙しいときは早朝から暗くなっても働かざるを得ないときがあるし、冬には仕事量が減ってしまいます。年間を通して均一労働を実現するのは難しい訳です。
6次産業化することで、本来は閑散期なときでも加工業務に人を回せるようになる。
農作業での労働負荷を加工部門で調整することで、従業員を雇うことができるようになります。
まとめ
一般消費財の製品にも言えることですが、この6次産業化が成功するかしないかの分岐点は、生産者にとって都合が良い作りやすい商品なのか、それとも消費者にとって魅力ある商品なのかです。
決して消費者に媚びる必要はありませんがあまりにも生産者(作り手)にとって都合の良い商品は受け入れられないものだと思います。
地方で作って大都市で買ってもらう。ボリュームを上げるにはこれが一番の近道です。そのためには大都市の生活者と「共創」し商品を練り上げる。
1次産業であっても消費者・生活者との価値共創マーケティングを駆使し、6次産業化に向けた取組を今後とも支援していきます。