共創マーケティング|参加者募集時のポイント

😣 こんなモヤモヤはありませんか?

  • 共創の場をつくりたいが、「誰を呼べばうまく回るのか」がわからない
  • 社内のメンバー選びが固定化していて、新しい発想が生まれにくい
  • お客様側の参加者が「ただのアンケートモニター」のようになってしまう

🔍 この記事でわかること

  • 共創マーケティング実践で「参加者設計」が重要になる理由
  • 社内メンバーを選ぶときのチェックポイントと注意点
  • 顧客・生活者側の参加者募集で押さえておきたい基準と配慮
  • 企業と顧客の信頼関係を育てる参加者募集の「まずはここから」ステップ

共創マーケティングのプロセスの中でも、「参加者募集」=誰と一緒に進めるかは、 成否を分ける非常に重要なステップです。

ここで言う参加者とは、企画・開発担当者だけではありません。
企業側のメンバー(社内・パートナー企業)と、顧客・生活者側のメンバーの両方を指します。 誰がその場にいるかによって、出てくるアイデアの質も、場の雰囲気も、成果も大きく変わってしまいます。

共創プロジェクトは「誰とやるか」で大きく変わる

共創マーケティングのステップ全体を見たうえで、「参加者設計」がどこに効いてくるのかを確認しておきます。

価値共創マーケティング実践の手順(全体像の図)
図:価値共創マーケティング実践の手順イメージ(参加者募集は、プロセス全体の土台となるステップ)

一例として下記に共創マーケティング実践の手順を示しました。

この中でも「参加者募集」は、 「どんな視点や経験を持った人たちと、一緒に価値をつくるのか」を決めるフェーズです。 ここでの設計次第で、

  • アイデアが深まるのか、表面的な意見交換で終わるのか
  • 場の空気が前向きになるのか、ぎこちなくなるのか
  • その後の社内展開・顧客への浸透がスムーズかどうか

といった違いがはっきりと現れてきます。 では、社内メンバーと顧客・生活者側、それぞれどのような点を意識して選べばよいのでしょうか。

1.参加者募集(社内)──「役職」よりも「スタンス」と「多様性」

企画開発だけでなく、営業・広報・現場・パートナー企業まで視野に入れつつ、「共に考え、楽しめる人」を軸に選びます。

社内メンバー選びというと、どうしても「企画・開発担当だけ」に偏りがちです。 しかし、実際の共創プロジェクトでは、

  • 営業・販促・広報など「お客様の近く」にいる人
  • 製造・品質・物流など「現場のリアル」を知る人
  • 場合によっては、顧客企業やパートナー企業の担当者

も巻き込むことで、議論の深さと実現性がぐっと高まります。

👥 社内参加者を選ぶときのチェックポイント

  • コミュニケーション能力:人の話を聴き、自分の意見も言えるか
  • 楽しめる姿勢:新しい試みに前向きで、「どうせ無理」から入らないか
  • 必要なスキル・知識:技術・品質・マーケティングなど、必要な専門性が揃うか
  • 役割分担のイメージ:企画・検証・社内展開など、それぞれの役割が描けるか
  • 他者へのリスペクト:違う意見や部門の事情に耳を傾けられるか
  • 倫理観・責任感:生活者の利益や安全を大事にできるか

特に重要なのは、「楽しみながら積極的に参加できるか」というスタンスです。 共創の場では、正解を探すよりも、 「こんな見方もあるかもしれない」「それ面白いですね」といった対話が価値を生みます。

そのため、スキルや役職だけで選ぶのではなく、 「新しいことをお客様と一緒に試してみたいと思える人」を軸に人選することをおすすめします。

🤝 チームビルディングもセットで考える

プロジェクトの途中や前後で、軽いチームビルディングを行うのも効果的です。
ランチミーティングやオンライン雑談会など、小さな場でも構いません。
「このメンバーなら、本音で話しても大丈夫」と感じられる関係性が、共創の質を大きく左右します。

2.参加者募集(顧客・生活者)──「多様だけど、目的に合っている人たち」を集める

「誰でもいい」でも「お気に入りのお客様だけ」でもなく、目的に沿った幅と深さを持つ参加者像を描きます。

顧客・生活者側の参加者募集では、 「とりあえず今の顧客リストから声をかける」だけでは、共創の可能性を十分に引き出せません。 事前に押さえておきたいのは、次のポイントです。

👤 顧客・生活者側の参加者設計のポイント

  • 目的と役割を明確に伝える
    何のためのプロジェクトで、参加者にはどんな役割を期待しているのかを事前に共有します。
  • 選抜基準を決める
    愛用者・ライトユーザー・離反経験者など、どんな人に来てもらうと気づきが得られそうかを整理します。
  • 人数の目安を決める
    対話のしやすさと多様性のバランスが取れる人数(例:1グループ6〜8人程度)をイメージします。
  • プロファイルを把握する
    年齢・家族構成・ライフスタイルなど、発言の背景となる情報を事前アンケートなどで確認しておきます。
  • 価値観の多様性を意識する
    同じような層だけで固めず、「あえて違うタイプの人」を混ぜることで、議論に広がりが生まれます。

また、参加者には当然ながら時間やエネルギーを使っていただきます。 そのためのお礼やインセンティブについても、丁寧に設計する必要があります。

🎁 お礼と同意取得で大事にしたいこと

  • 金銭・商品提供・ポイント付与など、参加負担とバランスの取れたお礼かどうか
  • プロジェクトの目的・進め方・活用範囲を事前にわかりやすく説明しているか
  • 個人情報や発言内容の扱いについて、プライバシー保護の観点から同意を得ているか

共創の場に参加していただく生活者は、単なる「調査対象」ではなく、 「一緒に価値をつくるパートナー」です。
その前提を丁寧に共有し、安心して本音を話してもらえる環境づくりまで含めて、 参加者募集と考えていくことが大切です。

3.企業と顧客の信頼関係を育てる「参加者募集」のコツ

参加者の選定は、単発のプロジェクトのためだけでなく、「この企業となら一緒に考えたい」と思ってもらう関係づくりでもあります。

価値共創マーケティングの成功には、企業と顧客双方の信頼関係が欠かせません。 そのスタートラインに立つのが、「誰を、どのようなスタンスでお招きするか」です。

✅ まずはここから──小さく始める3ステップ

  1. ① 「理想の参加者像」を言語化する
    社内メンバー/顧客側それぞれについて、「どんな人たちと一緒に考えたいか」を箇条書きにしてみます。
  2. ② 小さな共創プロジェクトで試す
    いきなり大規模にせず、少人数で1テーマだけ取り上げて、今回の基準で人選してみます。
  3. ③ 振り返りで「人選の学び」を残す
    終了後、「どんな人がいて良かったか」「こういう人にもいてほしかった」をチームで言語化し、次回の基準に反映します。

参加者募集は、単なる「メンバー集め」ではなく、 「どんな関係性で価値を共創していく企業でありたいか」を形にしていくプロセスでもあります。

社内外の人たちが、「あのプロジェクトは楽しかった」「また一緒にやりたい」と感じられる共創の場をつくるために、
まずは参加者設計から、一歩ずつ丁寧に整えていきましょう。

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